メンタルヘルス疾患による休職期間中は、転職しないほうが良い理由

リワーク

うつ病や適応障害などのメンタルヘルス疾患で職場を休職すると、「転職」も頭をよぎります。

「職場に戻っても、結局また同じ状況になって、再び体調を崩しかねない」

「職場に戻って、またあの人の顔を見たくない」

「いっそ、別の職場に転職して、心機一転頑張った方が上手くいくのではないだろうか」

体調を崩した理由を大別すると、人間関係の悪化、業務過多による働き過ぎのいずれかです。

「この煩わしいストレスがなくなれば、再び元気に働けるのに・・・」、と誰もが考えてしまいます。

今の職場でのストレスから解放されるために、確実な方法は別の職場へ移ること、つまり、転職することですが、果たしてその結果上手くいくのでしょうか。

結論から言えば、休職期間中の転職は失敗することが多いので、おススメしません。以下では、その理由を挙げていきます。

メンタルヘルス疾患での休職を明らかにしても採用されない

そもそも、体調を崩して休職している人を、わざわざ採用する企業はありません。

たとえあなたが転職先の業務にフィットする優秀な人材だったとしても、採用側からすれば、休職してしまうかもしれないリスクの高い人材だからです。

働き続けられない人材は、必要とされません。

実際に、メンタルヘルス疾患で現在休職中であることをオープンにして転職面談を受けても、受からなかったという声ばかりが聞こえてきます。

現状をありのまま転職支援業者に相談して、体調を崩して休職していることをオープンにして働きたいことを伝えても、転職支援業者(コンサルタント)に対応はしてもらえます。

コンサルタントとしては、門前払いをするわけにもいきません。仮にあなたが無事転職してくれれば、その企業から報酬をもらえることにも繋がります。ただし、体調不良者でも受け入れてくれそうな企業に紹介することになります。

体調を崩していていてもリスクを顧みずに採用する企業は、多くの場合、当然あなたの体調を考慮してくれる職場ではありません。また、とても仕事が忙しかったり、人間関係がきついことがほとんどです。短期間に多くの人が入社・退社を繰り返している場合が多く、急ごしらえとしてあなたを採用しようとしている可能性があります。

休職中であることを隠して転職しても、バレてしまう

以下のような理由により、あなたがメンタルヘルス不調で休職したことが、転職活動中の応募先の職場、もしくは転職後の新しい職場に、発覚してしまう恐れがあります。

履歴書や職務経歴書に詐称があったり、口頭での内容に虚偽があれば、転職活動中なら採用の取り消し、転職後なら解雇事由にもなりますので、十分注意してください。

応募先の職場から前年度の源泉徴収票を求められる

転職活動先の企業から、前年度の源泉徴収票を求められる場合があります。理由は、転職後の給与を決めるため、前年度の年収を参考にするからです。また、前年度の勤務歴を確認するためでもあります。

休職期間中の場合、所得の低いことが源泉徴収票をみればすぐに分かりますので、休職していたことが分かってしまいます。

少なくとも、復職して1年以上経過してから転職活動すれば、このような事態に陥ることはありません。転職するにしても、1年以上は今の職場で仕事をしてから転職する事をお勧めします。

「バックグラウンドチェック」と「リファランスチェック」

一般的に「バックグラウンドチェック」や「リファレンスチェック」と呼ばれるものがあります。

  • バックグラウンドチェック:外部の調査機関を使って、履歴書や職務経歴書の経歴に相違がないか確認をするもの 
  • リファレンスチェック:同僚や上司などに仕事ぶりや人柄などを確認するもの

現在は、個人情報保護法の観点から、あなたの承諾なしにこのようなことが行われることは減ってきています。

ただし、逆に応募先企業の人事担当者から確認をしてもよいかあなたへ尋ねられた時、あなたとしては「確認されては困る」とも言えないでしょう。

在職している今の人事部に転職希望先の人事部から問い合わせがあった場合、その過程で、あなたが現在休職中であることが分かってしまいます。

健康保険組合で前職での傷病手当金利用を確認される

仮にあなたが無事に休職歴を隠したまま、転職出来たとします。ただし、再び体調不良で転職先でも休職することになった場合、再度、休職の手続きを取らなければなりません。

傷病手当金を申請する場合、同一疾病で傷病手当金の受け取りが可能な期間は、1年半と決められています。そのため、手続きの際、既に前職で傷病手当金を受け取っている場合は、そのことが新しい勤め先にも分かることになります。

体調が悪くても、無理して働き続けなければならない

転職すれば、以前のように体調を崩しても、すぐに休むことは出来ません。しばらくの間は試用期間があるでしょうから、当たり前のことですが休まず勤務し続ける必要があります。

ですが、メンタルヘルス不調の場合、朝起きることが出来ない、業務中も集中力を欠いてしまうなど、いわゆる通常勤務が出来ない状態にあります。

復職の場合なら、再発予防のために職場側も配慮をしてくれますが、転職先ではそのような配慮を求める訳にもいきませんから、心身に不調が続くとしても、無理して働き続けなければ仕事を失うことにも繋がります。

とはいえ、無理は続くものではありませんから、結果的に転職したものの、すぐにその職場を退職することになってしまう事例が数多くみられます。

まとめ 

いかがだったでしょう。今回は、メンタルヘルス疾患による休職中は、転職をしない方が良い理由について話しました。

  • 体調不良で休職中である事を転職希望先に告げても、採用されにくい
  • 休職中であることを隠して転職活動しても、転職先にバレてしまう
  • 体調が悪くても、転職先では勤務を続けなければならず、結果、退職に繋がる

以上のようなことが起きないようにするためにも、まずは今の職場に戻ることを前提に、長期的な転職活動を行うことをお勧めします。

メンタルヘルス疾患による休職中なら、まずはリワークプログラムに参加して、自分の状況を整理してみることをお勧めします。

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