自分と誰かを比べることはありますか?
「あの子の方が人気者だ」、「あの人の方が年収が高い」、「あの家庭は子供もいて自分より幸せそうだ」、「あの人はフォロアー数が多い」
挙げればキリがないくらい、世の中には他人と比べることが溢れています。
他人との比較が行き過ぎると、自分を苦しめることにつながります。
今回は、他人との比較が自己否定に繋がらないよう、どうすれば良いかみていきましょう。
自分の立ち位置を見定めるために、周囲と自分を比べてしまう
フェスティンガーの社会的比較過程理論
レオン・フェスティンガー(アメリカ・社会心理学)の研究に、社会的比較過程理論というものがあります。個々人がどのように自分の意見や能力を評価し、自己を定義付けようとするのかを説いた理論です。
以下に基本的な枠組みを示します。
- 人間は自分の意見や能力を評価したいという動因を持っている。
- 自分の能力や意見が客観的な手段によって評価できないときは、周囲の他者との比較によって自分の能力の程度や意見の妥当性を評価しようとする。
- 自分と類似していると思われる他者の方が比較対象として選択されやすい。
あなたも次のように感じたことはありませんか。
「○○さんもやっている事だし、自分もやった方がいいかもしれないな」
「みんなもそう思っているし、自分の考えは間違っていないはずだ」
他人と比較することで自分を評価しようとすることは、誰もが行っている自然な試みなのです。
他人との比較には上向きと下向きがある
人は誰かと比較をする場合、必ずしも自分に類似している他者を選んでいるわけではありません。
自分よりも優れている人や集団を比較したり、自分よりも不幸だったり劣っている人や集団を比較していることもあります。
以下では、「上方比較」と「下方比較」という2つの比較についてみていきましょう。
上方比較 〜自分より優れた相手との比較〜
人は、「自分より優れた相手である」と位置付けた対象を作ります。
自分よりも優れた相手や集団と比較することで、自らも更に努力することでより高い知識や技能などを得ようとするモチベーションにつながります。
また、自分よりも優れた相手や集団と位置付けた対象に、共通性を見出すことで、自分の現状を高めることにもつながります。
下方比較 〜自分より劣った相手との比較〜
人は、「自分より不運・不幸・劣った相手である」と位置付けた対象も作ります。
自分より劣った他者と比較することで、自分を慰めて、安心感や幸福感を増やそうとします。
自尊心を守るための、防御的な傾向を表しています。
比べ過ぎてしまうことで生じるデメリットとは?
比べることで、今の自分を適正に評価することも出来ます。
適度な上方比較や下方比較を行えば、自分を高めたり、守ることにもつながります。
しかし、比べ過ぎてしまうことで、人はどのような悪循環に陥るのでしょう?
以下に、比べ過ぎによるデメリットを挙げていきます。
- 比べる相手の立場・能力などが高すぎると、自信喪失につながる
- 自分の足りないところばかりに注目してしまい、幸せを感じにくくなる
- 他人にも苦労があることを見逃してしまう
- 嫉妬に繋がりやすい
- 比べる相手の劣った点だけに着目して、現状維持に埋もれてしまう
自分を苦しめないための考え方は?
それでは、他人とのネガティブな比較をしすぎないためには、どのような点に気をつければよいのでしょうか。まずは以下の点に着目してみてください。
- 自分と他人とを比べてしまう原因を探してみる
- 比較には終わりがないことを知る
- 「他人は他人、自分は自分」と線を引く
- 自分自身に注目し、良い点を認める
- SNSを休止してみる
- 他人も同じように劣等感を抱いていることを知る
自分と他人とを比べてしまう原因を探してみる
あなたの中にある比較の原因は何でしょうか?
プライドが高い、世間体が気になるなど、自分の中にある原因を一度整理してみることで、過度な比較に繋がっていることに気づくキッカケになることもあります。
比較には終わりがないことを知る
上には、さらにその上がいます。私たちが住んでいるこの世界には、常に比較の対象となる人が出てくる事を理解しておきましょう。
「他人は他人、自分は自分」と線を引く
あなたと相手は、様々な点で違います。相手と自分を結びつけ過ぎないように注意してください。
自分自身に注目し、良い点を認める
あなた自身に注目してみましょう。自分の好きなもの、自分の好きな音楽、自分の好きな映画など、なんでも構いません。本来、自分が好きなものはどのような物事なのか、改めて認めてみることから始めてみると良いでしょう。
SNSを休止する
SNS上で見える他人の「充実度」や「華やかさ」が気になるなら、一度SNSから離れるのが良いかもしれません。
SNS上では、本来の相手の生活が見えづらくなります。都合の悪い点は隠され、良い点ばかりが強調されます。
他人も同じように劣等感を抱いていることを知る
他人と比較して苦しんでいるのは、あなただけではありません。「隣の芝生は青い」という表現があるように、誰もが誰かに劣等感を感じています。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は、他人との比較についてみてきました。
比較することで、人は良くも悪くも自分の現状を明らかにしていきます。
向き合うべきは自分で、比較する相手ではありません。