あなたは、自分を客観的に捉えることが得意ですか?
自分を癒したり問題解決するためには、まず「気づく」ことが出発点になります。
「あ、今イライラしているな」、「今、すごく焦っているなぁ」など、自分の状態に気づくことで初めてそれに対処することが出来るようになります。
ところが、誰でも意外と自分自身を客観的に捉えることは難しいものです。
今回お話しする、自分を客観的に捉えるメタ認知の力が高まると、降りかかるストレスにも対処しやすくなります。
メタ認知とは
メタ認知とは、1976年にアメリカの心理学者ジョン・H・フラベルが提唱したものです。
古代ギリシャの哲学者ソクラテスが提唱した「無知の知」(知らないことを自覚していること)という概念が起源になっています。
「メタ(Meta)」は「超越した」・「高次の」という意味を持ち、
「メタ認知」は、「自己の認知のあり方に対して、さらに認知すること」という意味を持ちます。
メタ認知の働きが弱いとどうなる?
メタ認知の働きが弱いと、客観視する力が弱いため、「自分が他人からどう見られているか」ということも把握しにくくなります。
自分と他人との情報を区別しにくくもなり、「自分が感じているように他人も感じているだろう」と考える傾向に向かいます。
メタ認知の働きが強いとどうなる?
メタ認知の働きが強いと、第三者視点から自分を見つめることができ、自分と他人の情報を区別することができるようになります。
自分を苦しめる否定的な考え方にも気づきやすくなり、ネガティブな考えを止めるきっかけが見つけやすかったり、別な視点から考えることができるようになります。
メタ認知の2つの機能
メタ認知は、モデリングとコントロールという2つの機能に分かれます。以下では、それぞれの機能について詳しく見ていくことにしましょう。
モデリング機能
モデリングとは、自分自身の思考や心理状態、行動そのものを対象化して、客観的に把握・分析する機能です。
モデリングが上手くできると、以下のような点で理解が進みます。
- 自分はきちんと理解できているのか、いないのか
- 自分は今冷静なのか、感情的になっているのか
- この課題は自分の手に負えるのか、負えないのか
コントロール機能
モデリングにより得られた自身の状態に関する洞察をもとに、自らの行動を望む方向に制御・調整していく機能です。
コントロールが上手くできると、以下のようなことがスムーズにできるようになります。
- 「私は今大変な状態だから、ちょっとそっとしておいてね」と相手に声を掛ける
- 自分は忘れ物が多いことに気づき、出かける前に必ず見ている姿見鏡に付箋を貼っておく
- 理解が今ひとつだと気づき、もう1度復習をする
メタ認知を鍛える方法
どのようにすれば、メタ認知が鍛えられるのでしょうか?
効果的な方法を以下に挙げています。
- 思考や感情を「見える」化するために、紙に書き出したり、図で表してみる
- 鏡を見て、自分の表情や佇まいを視覚的にチェックする
- 何らかの考えを思いついた後、行動にうつす前に一旦チェックする癖をつける
- 身近な人物だったらどう思うのか、どう行動するのかを想像してみる
- 小説や映画などで物語の主人公や登場人物に感情移入し、自分とは異なる別の他者の考えや経験を当事者として触れてみる
まとめ
いかがだったでしょう。今回はメタ認知についてお話しました。
自分の気持ちが動揺しても、落ち着いて行動できるように、普段からメタ認知を高める習慣をつけてみてください。