リワーク施設を探すと、開始時間や終了時間が施設ごとに大きく異なることに気づきます。朝8時台から始まるところもあれば、11時から始まるところもあり、午前中だけの施設もあれば、夜まで1日中行う施設もあります。なぜこのような違いが生じるのでしょうか。医療機関や復職支援の現場に関わる立場から、その仕組みと背景を整理してみます。
医療機関でのリワーク実施時間は「3・6・10時間」
リワークは「医療行為」として厚生労働省の指示に基づき実施されています。実際には「リワーク」という名称は診療報酬上の医療行為には存在せず、精神科リハビリテーションの枠組みで行われています。
- 精神科ショート・ケア:3時間
- 精神科デイ・ケア:6時間
- 精神科デイ・ナイトケア:10時間
医療機関はこの枠組みに沿ってプログラムを作成しているため、施設ごとに「3時間」「6時間」「10時間」という違いが生じます。つまり、制度上の枠組みがそのままリワークの実施時間に反映されているのです。
職場のように「8時間勤務」でのリワークはできない
多くの職場では9時から18時までの8時間勤務が一般的です。復職を目指すリワークも本来は同じ時間で行うのが望ましいと考えられます。 しかし、医療行為として認められているのは3・6・10時間のみであり、8時間枠は存在しません。
- 10時間枠を8時間に短縮すると「診療報酬の不正請求」になってしまう
- 6時間枠を8時間に延長すると「スタッフの無償労働」となり、医療機関の運営上不可能
このため、現状では「職場と同じ8時間」でリワークを行うことは制度上できないのです。
多くの施設が「6時間枠」で実施
実際には、9〜15時や10〜16時といった6時間枠でリワークを行う施設が多く見られます。 復職前の利用者は長期間自宅で過ごしていたケースが多いため、いきなり長時間参加すると疲労が蓄積し、再度体調を崩すリスクがあります。
そのため、施設によっては「まず3時間から始め、次の段階で6時間へステップアップ」という段階的な参加を促すケースもあります。これは利用者の負担を軽減し、復職への準備を着実に進めるための工夫です。
最近増えている「10時間枠」のリワーク
近年では、9〜19時までの10時間リワークを行う施設も増えています。施設側の説明では「残業を想定している」とされることが多いですが、実際には「6時間の次は10時間しか制度上選べない」という理由が大きいです。
- メリット:長時間勤務に近い形で復職準備ができる
- デメリット:食事提供があるものの、帰宅後の家事や生活リズムに影響が出る可能性
私自身の意見としては、6時間で足りない場合は「帰りにジムへ行く」「喫茶店で勉強する」など、生活の中で調整する方が現実的だと感じます。多くの職場では復職直後の残業は禁止されているため、10時間リワークが必ずしも復職に直結するとは限りません。
制度と現場のギャップ
ここで重要なのは「医療制度上の枠組み」と「実際の職場復帰に必要な時間」が必ずしも一致していない点です。
医療機関は診療報酬のルールに従って運営しているため、柔軟に8時間リワークを設定することはできません。結果として、利用者は「3・6・10時間」という制度上の枠に合わせて選択するしかないのです。
一方で、復職支援の現場では「本人の体力」「生活リズム」「職場の勤務形態」に合わせた調整が不可欠です。制度の限界を理解した上で、自分に合った施設を選ぶことが大切になります。
まとめ
- 医療機関でのリワークは「3・6・10時間」の枠で実施される
- 職場のような「8時間勤務」でのリワークは制度上できない
- 多くの施設は6時間枠を採用し、段階的に参加を促している
- 最近は10時間枠の施設も増えているが、生活リズムへの影響も考慮が必要
- 自分に無理のない働き方を考え、それに沿ったリワークを選ぶことが重要
私も現場での観察や支援を通じて「制度と現実のギャップ」を強く感じています。リワークを選ぶ際には、制度上の制約を理解しつつ、自分の体調や生活に合った施設を選ぶことをおすすめします。
※本記事は一般的な情報の提供を目的としており、医師の診断や治療に代わるものではありません。症状については必ず専門医にご相談ください。



