私は多くの方の職場復帰を支援する場面に立ち会ってきました。その中で強く感じるのは、運動がメンタルヘルス不調からの回復に欠かせない要素だということです。
休職中にジムやヨガに通う人もいますし、リワーク施設でも運動プログラムが導入されているのをよく見かけます。「運動が生活の質を大きく変える」瞬間を何度も目にしてきました。
1週間の安静で体力は10〜15%低下する
人はたった1週間寝たきり生活を送るだけで、体力が10〜15%も低下すると言われています。私もインフルエンザで数日寝込んだ経験がありますが、回復後に立ち上がると足腰に力が入らず驚いたことがあります。
筋肉の70%は下半身に集中しているため、歩行や立位に必要な筋肉が真っ先に衰えるのです。さらに3〜5週間続けば、体力は半分近くまで落ちるとされます。これは「廃用症候群」と呼ばれる状態です。
廃用症候群と休職期間の関係
休職が長引くと、心身の活動性が低下し、体力だけでなく心肺機能や認知機能まで影響を受けます。私が見てきたケースでも、診察日以外は外出せず、生活リズムが乱れてしまう方が少なくありません。
ストレス環境から離れることは一見良いように思えますが、基礎的な生活が崩れることで逆に体調を悪化させることもあります。だからこそ、散歩など軽い運動を取り入れることが重要なのです。
宇宙飛行士も同じように体力低下する
面白い例として、宇宙飛行士も帰還直後は廃用症候群に陥ります。
無重力環境では筋肉や骨を使う機会が減り、急速に衰えてしまうのです。2018年に帰還した金井宣茂さんも、JAXAで約3週間のリハビリを受けています。
もちろん私たちが宇宙飛行士のような専門的リハビリを行う必要はありませんが、日常生活に運動を取り入れることが同じように重要だと分かります。
研究が示す運動の抗うつ効果
米国デューク大学の研究では、運動が抗うつ薬と同等の効果を持つことが報告されています。さらに再発率は運動のみのグループが最も低かったという結果も出ています。
復職を目指す多くの方が「散歩を習慣化したら気分が安定した」と話してくれます。これは研究結果と現場の実感が一致している好例です。
座りすぎの悪影響
近年は「座りすぎ」が心身に悪影響を与えることも明らかになっています。京都府立医科大学の研究では、座位時間が長いほど死亡リスクが高まると報告されています。
私の施設でも、長時間デスクワークを続ける方へ、1時間に一度は立ち上がることを促しています。小さな工夫ですが、これが心身の健康維持につながります。
私の経験からの提案
復職を目指す方々に共通して言えるのは「小さな運動習慣が大きな安心につながる」ということです。
- 朝の通勤前に10分の散歩
- 昼休みに軽いストレッチ
- 週末にヨガやサイクリング
こうした取り組みは、無理なく始められ、継続しやすいものです。私自身も業務の合間にストレッチを取り入れることで、集中力が高まり、気持ちが前向きになるのを実感しています。
まとめ
運動はメンタルヘルス不調からの回復において「特効薬」と言える存在です。
- 療養中に低下した体力を回復させる
- 研究で抗うつ効果が証明されている
- 座りすぎによる悪影響を防ぐ
復職を目指す方にとって、運動は心身を整える大切なステップです。まずは散歩や軽いストレッチから始め、少しずつ生活に取り入れてみてください。
※本記事は一般的な情報の提供を目的としており、医師の診断や治療に代わるものではありません。症状については必ず専門医にご相談ください。



