はじめに
地域によってリワーク施設の数は大きく異なります。都市部では複数の施設から選べる一方、地方では通える施設が限られることもあります。もし複数の施設を選べる環境にあるなら、どのような場所を選ぶのが良いのでしょうか。ここでは、私が現場で見てきた経験を踏まえ、場所選びの考え方を整理します。
職場近くの施設は「通勤訓練」になる
職場近くの施設に通うことは、復職後の通勤を想定した訓練になります。抵抗なく通え、プログラム内容にも納得できるなら、職場近くの施設を選ぶのが最も効果的です。
都市部での選択肢
都市部では必ずしも職場近くでなくても、主要ターミナル駅まで通うことで十分な通勤訓練になります。人の流れや乗り換えの動線を体験することが、復職後の安心につながります。
職場方向の電車が辛い場合
心理的負荷への配慮
適応障害などで休職している方の中には「職場方面の電車に乗ると胸が苦しくなる」というケースもあります。その場合は、無理に職場方向の施設へ通う必要はありません。
逆方向の施設を選ぶメリット
逆方向の施設でも通勤訓練にはなりますし、症状が落ち着いた後に職場方面の施設へ通い直す方法もあります。リワークは必ず一つの施設で完結しなければならないわけではなく、柔軟に変更して構いません。
徒歩圏内の施設に通う場合
徒歩で通える施設は便利ですが、復職後は電車やバスでの通勤が必要になるため、徒歩だけでは十分な通勤訓練にならない可能性があります。
公共交通機関を利用する練習
通勤に不安がある方は、あえて交通機関を利用する施設を選ぶことで、復職後の負担を軽減できます。徒歩圏内からスタートし、段階的に公共交通を取り入れる方法も有効です。
場所選びの優先順位
施設選びでは「場所」だけでなく、以下の3点をバランスよく考えることが大切です。
- プログラム内容の質:自分の症状や目的に合っているか
- 通いやすさ:距離や交通費、生活リズムとの相性
- 通勤訓練効果:復職後の通勤を想定した負荷があるか
都市部では複数の施設を比較できますが、地方では選択肢が限られるため「通えること」自体が最優先になります。
施設見学時に確認すべきチェックポイント
実際に施設を見学する際は、次の点を確認すると安心です。
- プログラムの内容:グループワーク、個別作業、運動など、復職に必要な要素が含まれているか
- 参加者の雰囲気:安心して話せる環境が整っているか
- 通所環境:駅からのアクセス、通勤時間、交通費の負担
- 柔軟性:途中で施設変更やプログラム調整が可能かどうか
- フォローアップ体制:復職後のサポートがあるかどうか
これらをチェックすることで「通いやすさ」だけでなく「復職に直結する効果」を見極められます。
筆者が現場で見てきた失敗と成功
私が見てきた中で印象的だったのは、「通勤そのものが最大のボトルネックになる」ケースです。仕事内容よりも「朝の移動」が復職の可否を左右することは珍しくありません。
また、最初から職場近くに挑むよりも「逆方向→中間地点→職場方向」と段階的に負荷を上げていく方が、心理的安全性を保ちながら復職につながることが多いです。予定外の遅延や混雑を「練習項目」として扱うことで、本番の挫折率を下げることもできます。
まとめ
リワーク施設の場所選びは「職場近くがベスト」と言われることもありますが、必ずしもそうではありません。
- 職場近くなら通勤訓練になりやすい
- 職場方向が辛ければ、まずは逆方向の施設から始めても良い
- 徒歩圏内は便利だが、交通機関を使う練習も必要
最終的には「プログラム内容」「通いやすさ」「通勤訓練効果」の3つを基準に選び、見学時には復職後のフォローアップの有無まで確認することが重要です。復職は一度成功すれば終わりではなく、その後も続けられるかどうかが本質です。場所選びは、その持続可能性を左右する大切な要素なのです。
※本記事は一般的な情報の提供を目的としており、医師の診断や治療に代わるものではありません。症状については必ず専門医にご相談ください。



